こんにちは!リモートワークリサーチ編集部です。
リモートワークを導入している職場からよく聞く悩みに、勤怠記録の打刻忘れがあります。「日々の業務を円滑に回すため大切なこと」。そう頭ではわかっていても、つい打刻忘れをしてしまう。そんな方も現在この記事を読んでいる方のなかには多いのではないでしょうか。
そんな打刻忘れについて、本記事では打刻忘れをしてしまう原因、打刻忘れが問題視される理由、打刻忘れを放置したままだとどうなるのか、打刻忘れを防ぐ方法を順番に解説します。従業員の打刻忘れに手を焼いている人事・労務担当者必見です。
目次
従業員が打刻忘れをしてしまう主な理由
まず、そもそもなぜ打刻忘れが発生してしまうのでしょうか。ここでは、打刻忘れが生じる理由について特に現場の皆さんが「あるある」と感じるものをご紹介します。
打刻機がわかりくい場所にある
タイムカードによる勤怠管理をしている職場でよく聞かれるのが、打刻機が一見して分かりにくい場所に設置されているという意見です。大勢の従業員が働く職場では、打刻機は施設内でも人通りの多い場所に設置するのが一般的です。ところが、打刻機の周辺が整理されていなかったり物などが置かれていたりして、打刻機がどこに置かれているのかわからなくなってしまう場合があります。
直前まで覚えていても、いざその時になるとタイムカードの打刻を忘れてしまった経験がある方も多いのではないでしょうか。打刻機を見れば思い出せたかもしれませんが、打刻機が視界に入ってこなければ、忘れたまま行動してしまうことになってしまいます。
打刻機が休憩室などの近くにある
休憩室やトイレの近くだと、打刻忘れが生じやすい打刻機の設置場所とされています。「先に用事を済ませてしまおう」と考えて、そのまま打刻をし忘れてしまうパターンが多いからです。
就業前の準備からそのまま仕事モードに入ったときも要注意
タイムカードの打刻忘れが生じやすいのは、実は終業後よりも始業前。「今日のタスクを確認しないと」「トラブルが発生しているから、先に出勤している同僚から状況を聞こう」など考えていると、勤怠管理のことが施行から抜け落ちてしまいそのまま打刻忘れをしてしまうためです。
そもそも就業前後の打刻が習慣化していない
就職したばかり、あるいは転職してきたばかりで、終業前後に勤怠管理が習慣化していないため、打刻忘れをしてしまうこともあります。
打刻が手間に感じることが打刻忘れにつながることも
打刻しないといけないことはわかっていても、打刻するのが面倒くさいと感じてしまう従業員もいます。なかには、「後日まとめて修正すればいい」と考えている人もいるでしょう。
直行直帰が多いと直接打刻できない
営業職をしていると、クライアントのもとに直行・直帰することも往々にしてあります。そうなると手元にタイムカードがないため打刻をしたくてもできない、あるいは前営業日の出勤記録を修正しようとしてそのまま忘れてしまうこともあるのです。
忙しかったり疲れていたりして集中力を欠いていることも
終業前後から仕事のことばかり考えていて文字どおり仕事のことで頭がいっぱいになっていると、そのまま打刻し忘れてしまうこともあります。また、疲れていると集中力が切れてしまいがちになり、こちらも打刻忘れをしてしまう原因になります。
打刻忘れを放置してはいけない理由とは
次に、打刻忘れをそのままにしていると生じる可能性があるトラブルは以下です。
企業には従業員の労働時間の把握が義務付けられている
まず前提として、日本では2017年に厚生労働省が出したガイドラインで、
- 労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適正に監視する責務を有している
- 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置として、使用者は労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し記録すること
- 記録する方法としては、タイムカード、ICカード、パソコン等の使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること
と言及しています。
厚生労働省:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
労務担当者の事務負担が増加する
打刻を忘れてしまうと、労務担当者は従業員の正確な出退勤時間を正確に把握できません。前項でもご紹介したように、労働者の出退勤時間の記録と管理は企業に義務づけられています。すなわち、打刻忘れの放置は法令違反になる恐れがあることを受け、労務担当者は当該従業員に詳細の確認と修正を求める手間が発生し、結果として事務負担が増えてしまうのです。
給与計算の煩雑化も避けられない
従業員の数が増えれば、勤怠管理の過不足チェックと給与計算の件数もそれだけ増えることになります。企業によっては労務担当者が複数名在籍していて作業を分担できるケースもありますが、それでも、何十人、何百人分にもなれば、いかに事務負担が大きいかご理解いただけるかと思います。
労働時間が正確に把握できないことで残業代の未払いが発生するおそれも
出退勤記録が正確にされていない場合、
- 勤務時間
- 残業時間
- 深夜勤務時間
を正確に記録できません。そのため、本来であれば支払われるべき残業代が未払いになってしまうという最悪のケースも生じうるのです。
従業員の打刻忘れが深刻でも減給できる理由にはならない!
「勤怠記録の打刻忘れは自己責任ではないか」と考える経営者や労務担当者もいるでしょう。しかし、だからといって打刻忘れを放置するのは現実的な対応ではありません。
給与の支払いは企業の義務です
労働基準法第24条では、
- 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一定期日をさだめてしはらわなければならない
と定めています。この一文により、企業は労働者に対して労働をさせた時間に対応するかたちで給与を支払う必要があるのです。
e-GOV 法令検索:労働基準法第24条(賃金の支払)
あまりにも打刻忘れが頻発している場合には一定範囲内であれば減給も可能
労務担当者や上長が注意を繰り返しても改善が見られない場合、減給処分を検討することも可能です。
ただし、就業ルールの作成・共有・徹底をはかったうえでの選択肢となりますので、当該従業員をいきなり言及することはできません。減給可能額には上限があります。その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払い期における賃金の総額の十分の一をこえてなはらない。
とされています。「就業規則を破ったから今月は給与を支払わない!」という対応はできません。
e-GOV 法令検索:労働基準法第91条(制裁規定の制限)
打刻忘れが発生した場合に取るべき対応と理由
それでは、労務担当者や給与計算など従業員の労働時間を管理する立場にある人は、打刻忘れに対してどのような対応をとることが求められるのでしょうか。
従業員本人に理由を確認する
最初にとるべき対応は、打刻忘れをしている従業員にコンタクトを取って打刻忘れを伝えることです。企業の考え方や当該従業員の出勤状況などの事情も考慮しながら、柔軟に対応して様子を見ましょう。
必要に応じて注意をすることも忘れずに
打刻忘れを繰り返していて改善の傾向が見られない場合、当該従業員に対してヒアリングと注意を実施しましょう。記事前半でもご紹介したように打刻忘れの原因は複数ありますので、当該従業員のパターンを把握するところから改善策を本人から提案してもらうところまで行うのがベターな再発防止策といえるでしょう。
改善されない場合には始末書の提出も検討を
上記対応をとっても改善が見られなければ、始末書の作成と提出、人事評価への反映など、組織として対応と処分を行うことも検討しましょう。打刻忘れが顕著だからといって、それだけで減給処分や罰金などの処分を実施しようとすると、法律に抵触する恐れがあります。
打刻忘れをなくすにはハードとソフトそれぞれの改善がベスト
打刻忘れの原因は、ヒューマンエラーに起因するものも多いです。打刻忘れをしがちな従業員を一方的に責めるのではなく、企業側も「どうすれば打刻忘れを減らせるだろうか」と労務担当者などが中心となり対策を考えたり実施したりすることが大切です。最後に、明日から現場に取り入れやすい打刻忘れ対策をご紹介します。
タイムレコーダーは打刻機を使いやすい場所に再設置
タイムカードを導入している職場なら、打刻機を従業員が目視し確認しやすい場所に設置できているかどうか再検討しましょう。社員用通用口などのように、どの従業員も必ず通る場所を探して再設置するのがおすすめです。
打刻忘れがないか従業員間でチェックする体制を作る
出勤時間あるいは退勤時間が一緒の従業員がいれば、お互いに押し忘れていないか相互確認するのもよいでしょう。あるいは、チームを組んで勤怠の押し忘れをしていないか持ち回りでチェックする方法もあります。特にこの方法では、打刻忘れをしてしまう従業員がチェックする側に回ることから、普段とは違った立場から本人がタイムカードと打刻忘れを意識するきっかけにもなります。
ポスターなどの掲示物で注意喚起
休憩室やトイレなど共有スペースなど人目につく場所に、打刻忘れをしないよう言及した掲示物を張り付けるのも有効でしょう。ただし、掲示物による注意喚起を行う際は、見慣れることによる見落としを防ぐためにも定期的な作り直しが必要になることもふまえて検討しましょう。
カレンダーや社内ツールを活用する
パソコンを日常的に使用する職場であれば、グーグルカレンダーへの登録、社内チャット(Slack、Chatworkなど)で定期的にリマインドする方法もよいでしょう。
勤怠管理システムを導入
パソコン上でリマインドを受けても、タイムカードを打つのを忘れてしまっては本末転倒です。そこでおすすめしたいのが、勤怠管理システムの導入です。
勤怠管理システムは、パソコン上でログインし出勤・退勤ボタンを押すだけで勤怠記録を簡単に記録できます。記録したデータはオンライン上で集計可能ですので、毎月の給与計算時の煩雑さ解消やミス防止などの、打刻忘れをしやすい従業員だけでなく労務担当者にもうれしいメリットがあります。
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可視化されることで、従業員ひとり一人の得意、不得意を見極めることも容易に。
効率的なタスクの割り振りや、適切なフォローができれば、業務の効率化にもつながります。
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