上場にあたり一段上の情報管理が必要に
(左:監査役 佐久間様、右:社外取締役 渋谷様)
1971年に創業し、建材・建築工事の施工管理・営業を事業としてきた三興商事株式会社様。住宅や学校など公共・民間を問わず多くの建築工事に携わっています。静岡県静岡市に本社を置き、近年は横浜、さいたま、名古屋といった県外にも営業所を開設してきました。
しかし新しい地域への進出は、地元静岡で築いた実績やブランドが活用しづらいという課題もありました。また、建設業界は人材採用が難しい業界の一つ。特に新しい営業所での採用は課題でした。こうした課題解消や事業成長のために、同社は「株式の上場を目指す」という経営方針を打ち立てます。
同社監査役の佐久間文英さんは話します。
「上場審査の際は、会社のコーポレート・ガバナンスについても厳しく審査されます。つまり、上場の過程では情報セキュリティ対策や社員への教育体制、労務管理などについて目が向けられるんですね」
しっかりと情報管理がなされているか、社員は適切な働き方をしているか。きちんと社内で管理してきた同社でしたが、第三者に対して管理体制を説明できるかと言えば心もとないところがあったそうです。特に上場審査の際に説明するには、一段上の情報管理が必要に。
「上場のためにも個々のパソコンのログを取れるようにしたい」しかし、それを実現できる専用システムの開発はそれなりのコストがかかることが予想されました。そこで適切なシステムを検討していた際に知ったのが「みえるクラウド ログ」でした。
「みえるクラウド ログ」なら業務効率の向上も図れる
最初に「みえるクラウド ログ」の担当者から説明を受けたときのことを佐久間さんは次のように振り返ります。「社員一人ひとりのパソコン業務がログとして記録され、やろうと思えばかなり細かな確認や分析までできることがわかり、かなりよいシステムだと感じましたね。社員の情報管理意識が高まるという印象を受けました。またかなりお手頃な価格だとも感じました」
さらに同社社外取締役の渋谷慧佑さんは続けます。
「当社の場合、上場に向けての情報管理の他に、もともと『業務の効率化』が課題に挙がっていました。たとえば、外注によって効率化が図れるパソコン作業などがあるならば、明確にしたいと考えていました」同社では数年前からDXも進めています。アナログだった業務はデジタル化によって効率的になる可能性が大きいでしょう。そしてデジタルの業務もまた、より効率的な進め方があり得ます。
「ただ検討を進めるにも、状況を把握しなければなりません。けれども社員にとっては、『どんな作業を何分行っているか』という現状報告をするのも手間ですよね。『みえるクラウド ログ』はその点、自動的にログが取れるため社員の手間もなく情報共有ができますよね」
導入に当たって説明会を開く
(左:監査役 佐久間様、右:社外取締役 渋谷様)
「みえるクラウド ログ」の導入に当たっては、同社は最初に導入説明会を開き全社員へシステム導入の趣旨などを説明しました。
佐久間さんは言います。「社員の『監視されるの?』という不安感を取り除こうとしました。取り除けないにしても、導入の目的を理解してもらおうと」
社員からの質問も、その場で回答。「それほど不安の声は挙がりませんでしたが『どう管理されるのか?』という質問はありました。それに対して『すべての行動を管理しようと考えているわけではありません』と。『パソコン作業を把握し、業務を割り振るなどの効率化を図るためのものだ』と説明しました」
この説明会に加え、社長自らがシステムの導入を強く推進したことも大きかったと同社。本格導入前のテスト段階で、社長が自らのパソコンをテスト機とすることを買って出たり、もちろん社員に向けても説明。「私のパソコンにはもう入っているんだよ。これでもう変なことできないな(笑)」と冗談まじりに話したそうです。
さらにインストールを円滑に進めるためにもマニュアルを作って説明。
「インストールするだけなのですが、やはりパソコンが得意でない方もいますので。インストールについても専任コンサルタントからサポートいただけたことがよかったですね。専任コンサルタントの方には、最初の導入説明会でも機能などを専門的な立場から話していただけました」
当初の目的どおり上場を達成
本格的なシステム運用が始まると、ログが溜まっていきます。「みえるクラウド ログ」ではログを見られる範囲・権限を細かく分けることができます。同社はほんの一部の人に限ることにしています。佐久間さんはその一人です。
「ログからは皆さんの働き方がわかります。労働時間の削減を推進している中、作業の可視化によりデータの裏付けがあった上で話ができるのは、すごく助かります」と佐久間さん。
導入から約3か月が経った全体会議でも、取得したログを適正に管理をしていることを社内へとアナウンスしました。もともとの目的の一つだった、情報漏洩に対する社内の意識も上がっていると同社。「上場審査においても、やはりコンプライアンスなどはチェックされます。そこで『どんな対策をしていますか?』と聞かれた場合に、具体的に答えられるものは用意しておきたかった。その意味で『みえるクラウド ログ』があると説明しやすいですよね」
渋谷さんも「『こういうシステムを入れています』、『システムを使って、こんな対応をしています』と言えますからね。すると対外的には『なるほど』と感じられるのではないでしょうか」と話します。
こうして2024年2月、同社は東京証券取引所が運営するTOKYO PRO Marketへと上場を果たしました。
渋谷さんは最後に話しました。
「率直に言って、『みえるクラウド ログ』は上場を目指す会社などは入れておいたほうがいいシステムだと思います。機能がそろっている上に価格も安いですから。また当社の場合、『システムを入れるとパソコンが重くならないか』という懸念も最初はありました。正直、全てのパソコンが高いスペックではないからです。けれど、もともと学校などでも使われるようなシステムを元に作られていると伺っていましたし、実際、導入後に『パソコンが重たくなった』という話はまったく出ません。ログを活用して作業効率向上につなげられた部分もあります。ただ、それもまだ一部のこと。今後はもっと活用していきたいですね」
最後に
(左:監査役 佐久間様、中央:セブンセンスマーケティング株式会社 代表取締役 宮田、右:社外取締役 渋谷様)
三興商事様は「みえるクラウド ログ」導入の際、社長様が率先してインストールしていたことが特徴的でした。新たな情報管理体制への移行をご自身でもって社内に示したことは、その後のスムーズな運用につながった秘訣だと思います。結果的にもともとの目的とされていた上場も達成されています。
「みえるクラウド ログ」は現在、リスキリングなどの人材育成目的の活用も増えています。パソコン業務が苦手だという方が、ソフトの操作が苦手か、タイピングが苦手かによって研修内容は変わるはずです。業務改善のためにもぜひ活用していただければ幸いです。
(編集協力:三坂輝、2024年3月)