リモートワークへの対応に伴って
税理士法人YFPクレア様は、代表の柳田幸紀さんが2008年に立ち上げました。始まりは池袋のワンルームから。以来14年間、さまざまな業種の会社様をサポート。社員数は現在80名にまで増えました。東京の新宿区四谷の本店の他、渋谷、神田、立川、浦和、千葉、横浜と活動拠点が多く、、コロナ禍からリモートワークも推し進めることに。税理士法上も留意すべき、リモートワークの管理という観点からも、柳田さんが新たに導入したのが「みえるクラウド ログ」でした。
近年リモートワークが急に普及したことで、課題も多く出てきたと話すのは、業務部兼総務部の課長である山岸陽子さん。
「リモートワークだと、意図せず情報漏洩をしてしまう危険があります。わざわざ情報を漏らそうという人はいなくても、うっかりミスをしてしまうこともありえます。また、事業としてさまざまな会社様とお取引があるため、多くの会計ソフトを使っています。それら単体ではログが取れても、リモートワーカーの一日の作業ログが一覧で取れないことも課題でした」
導入の際は、まず初めに説明を
「みえるクラウド ログ」の導入にあたっては、社員の方たちに向けて、入念に説明を行ったと山岸さんは話します。
「導入前にきちんと根拠を説明した方がいいと考えました。会社から貸与しているパソコンは、会社側がその使用状況を確認することができるということを、就業規則に基づいて説明をしました。その上で、ログを取るのでインストールしてくださいと伝えました」
その際、社員の皆さんからの特別な反応はなかったといいます。
「社員からは『知られたくない』『見られると困る』などと言われることは全くなかったですね。就業規則からきちんと説明したのは良かったかなと思います。在宅勤務のときは、会社のパソコンを遠隔操作する形でアクセスしている社員がいます。その場合は、会社のパソコンのみログをとっています。家のパソコンには入れていません」
あえての苦労を聞くと、社員数ゆえにインストール台数が多かったことだそう。さらにリースアップも重なり、インストールの手間が増えたといいます。
「全員がパソコンが得意というわけでもありませんから、最初からインストールに手間取りそうな人には、分かる人がサポートしました。インストールすれば、システム上で使い方が分からないということや、困ることは特になかったですね」
定量化することでみえるもの
柳田さんは、「みえるクラウド ログ」を導入して、作業スピードが特別に速い人や、反対に手間取ってしまう人を把握していきたいといいます。
「各作業の中で、特異な数値の人を探し、どうしてそうなったのかを知りたいです。結果として業務改善につなげていきたいですね」
また、作業の偏りについても把握したいと話します。
「入力のスピードだけでなく、仕事がチャットだけによっていないか、特定の会計作業によっていないかも見たい。例えば、監査担当者は数字のチェックが主なのに、入力作業を多くやっているのであればその原因を探り、業務改善する必要があります。逆に、入力担当のアシスタントだけれど、申告書作成システムの作業時間や手数が多いようであれば、ステップアップや配置転換の声掛けをしていくこともできます」
また山岸さんも、作業あたりの顧問報酬の判断材料としても期待していると話します。
「今までは、作業にどのくらいの時間がかかったかは、本人が申告していました。作業時間に本人の単価をかけて、報酬を割り出していましたが、見えないところで10時間やるだけでも一気に赤字になります。そこがはっきり見えないと、適正な人員配置と、適正な報酬を請求できません。それは『みえるクラウド ログ』を通して改善していこうと、今後に期待していることです」
柳田さんは「定量化して、見えなかったことが見えるようになる。見えたことに対して、打ち手を考えていきたいですね」と「みえるクラウド ログ」を高く評価しています。
残業ゼロの会社を目指して
隠れ残業が多いとも言われる会計業界。YFPクレア様では、基本的に「残業なし」という方針ではあるものの、在宅勤務が多くなったことから、隠れ残業が一定数あったといいます。
「チャットが届く時間帯の遅さなどから、ある程度肌感覚では想像できていたのですが、『みえるクラウド ログ』を導入してから、それらが明るみにでました。そこで繫忙期を過ぎたところで、実際の打刻と勤務時間にズレがある人と面談。隠れ残業を責めるためではなく話し合うための資料としてデータを活用しました」
隠れ残業をそのまま放置してしまうと、退職のリスクにもつながるといいます。
「自分が大変なときに、誰も気にかけてくれないとなると、関係性にも影響が出てくると思います。そこで、『みえるクラウド ログ』を活用し、データに基づいた話し合いなどで目をかけていく。それは、長い目でみると退職防止としても重要なことではないでしょうか」
ここまで残業の管理を徹底するのには、柳田さん自身が働きながら税理士の資格をとり大変だった経験があるから。若い社員には、業務は定時で終えて、勉強の時間を確保して欲しいという考えがあるそうです。
「表向きは残業のない会社に見えていても、実際は隠れて仕事をせざるを得ない社員がいるのであれば、それは会社として改善しなければなりません。残業のない働き方にしたいですが、もし残業が発生するのなら残業代をお支払いするのは当然のことです。今後は、『みえるクラウド ログ』を通して、誰がどのソフトを何時間使っているかを把握し、生産性もあげていきたいです。残業を『なるべくなくす』から『完全になくす』というところが一つのゴールですね」
(編集協力:三坂輝プロダクション、2022年10月)
コラム
担当者の視点
「みえるクラウド ログ」は、段階ごとに活用方法を変えて、より効果が発揮できます。
まずは、隠れ残業の発見のように、これまで見えていなかったものの視覚化することで効果を表すことでしょう。その後、1年以上経つと、去年との比較が可能になります。分析を行うには一定のデータ量が必要になります。特に会計業務では、1年間を通じた基本作業利益率が重要かと思います。使い続けることで、その段階ごとに事務所の改善点を発見していけるでしょうし、効果的な施策を見極めるためにもご活用いただけるはずです。