「みえるクラウド ログ」導入で製造業のホワイトカラーの業務効率化を推進

積極的に業務効率化に取り組んできた株式会社不二越

1928年、富山県で工具メーカーとして創業した株式会社不二越。ものづくりの世界に貢献する総合機械メーカーです。特殊鋼や工業炉などのマテリアル事業、工具・工作機械などのマシニング事業など多彩な事業を展開。現在、従業員は7千人を超え、売上高は2,654億円(いずれも連結。2024年現在)、東証プライム市場に上場しています。中でもロボット事業部のロボット製造所では、工程進捗の見える化を行い、作業フローやレイアウトを最適化することでPDCAサイクルを素早く回すことに成功。KPIの達成のみならず、働き方改革にもつながっています。そのロボット事業部を取りまとめるのが、ロボット製造所所長の林雅樹さんです。林さんは工作機器メーカー、総合電機メーカーを経て、2016年に同社に入社しました。現在は主に「安全」「品質」「生産環境」全分野の管理と、生産技術・製造の管理に携わっています。

林さんは働き方改革をより推進するため、「業務の中身を測る必要がある」と言います。「勤務時間中、どの仕事にどれくらい時間を使っているのかというデータはなかなか取れません。社員自身も、自分が何に時間を割いているのかは、なんとなくしか把握できていません。そこを数値化することで自分の働き方への理解も深まりますし、個人の中に留まっていた知識やスキルがデータとなることで、組織内で共有できるようになります。

ベテランの中には『自分の作業内容をあまり知られたくない』という人もいますが、自分のタスクを見つめ直せるだけでなく、組織内の重複作業も見える化できます。結果的に組織全体の業務の効率化につながるのです」業務の中身を知るために使えるツールはないかと探していたときに出合ったのが、「みえるクラウド ログ」でした。

システム導入の経緯

林さんが「みえるクラウド ログ」を知ったのは、日本経済新聞の記事でした。社長の宮田の思いや取り組みを知り、パッションに惚れ込んだのだそう。製品については「業務で使用したソフトを把握できる」「マウスやキーボードのクリック数から作業量が計測できる」といった「どの仕事にどれくらい時間を使っているか」を数値化できる点に魅力を感じたと言います。

また、取得したデータを掘り下げて分析したり、集計して見える化したりと価格以上にできることが多い点もメリットに感じたそう。コロナ禍でリモートワークが進んだこともあり、社員の仕事の取り組み状況を測るツールとして有効だと考えました。

課題の見える化を実現

林さんは前職でも、IE(インダストリアルエンジニアリング)の手法を使い、現場の作業分析や行動分析を行ってきたと言います。以前から抱えていた悩みが、ホワイトカラーの作業分析ができないこと。「IEの手法を使っても、結局はブルーカラーの労働の分析しかできません。社長からも『ホワイトカラーの分析はできないのか?』と言われていたのですが、適当なサービスがなく、当時はクラウドサービス自体がありませんでした」

現在は「みえるクラウド ログ」を導入し、行動分析や業務分析をどう行っていくか、検討を進めています。導入するにあたって、まずはホワイトカラーの社員15人に目的を説明したという林さん。監視しようとしているのではなく、タスクを分散させ、社員の残業時間を減らしていくことが目的だと伝えました。その上で、どんなデータをとるのか、取得したデータはどう使うのかを丁寧に説明しました。

「宮田社長からは『こんなにExcelを使ってる組織はあまり見たことがありません』というショッキングな言葉を聞きましたが、同時に納得もしました。弊社はなかなか通常の業務をシステムに置き換えられておらず、何をするにもMicrosoftのアプリケーションに依存していました。本来はERPですべてやるべきことが、中途半端に手作業が必要になっていて、Excelでの作業が必要になっていました。しかもExcelのスキルも中途半端で、時間がかかっていたんですね。何となく使いづらいと感じていたことが明確になり、課題がようやく見えてきました」

勘や経験の世界から脱却する

林さんは、勘や経験に頼るのではなく、データに基づいて判断する文化をホワイトカラーに根付かせたいと言います。現在、取得した個人データは管理者側のみが閲覧できるようになっていますが、将来的には個人のデータを自分たちで確認し行動変容につなげていきたいという目標を掲げています。

「団塊の世代が75歳以上になる『2025年問題』が目前に迫り、人材不足の深刻化を見据えて今後はさらに生産効率性を上げなければいけません。今、DXが声高に叫ばれていますが、私はDXを推進しても行動変容につながらないと意味がないと思っています。例えば『みえるクラウド ログ』で取得したデータを管理者だけが把握して社員を指導するよりも、社員が自分たちでデータを見られる方がすぐに改善できます。管理者側も、どこに課題があるかだけではなくて『この社員はこう改善したんだ』とすぐにわかるようになります」と話す林さん。さらに「それはブルーカラーのときにやってみて気づいたことです。作業者も管理者もデータを検索できるようにしたら、例えば動線が短くなったり、人数を増やさなくても出来高が上がったりと、すぐに行動が変わったんですね。ホワイトカラーでも同じ効果が期待できると考えています」と展望を話しました。

製造業のさらなる業務効率化を目指して

今後は「みえるクラウド ログ」を中心としながら、プラグインで他の機能を追加することでより全体の仕事の状況を見える化し、業務全体の最適化を期待しているという林さん。「たとえば製造業の現場ではISO規格に沿うことが求められるため、スタッフも作業手順書に則って仕事をする必要があります。『手順書の通りにできているか』というのもこういったツールで測れると思うんです。今後はそこも可視化していきたいですね」林さんにとって長年課題に感じていた、製造業のホワイトカラーの業務効率化に活用されている「みえるクラウド ログ」。取得したデータは管理者だけでなく、それぞれの社員が閲覧できるようにすることで自律的に業務を効率化していきたいと語っていたのが印象的でした。さまざまなシーンで活用の余地がある「みえるクラウド ログ」。今後もさまざまな使い方や「みえるクラウド ログ」が提供できる新たな価値を紹介していきたいと思います。(編集協力:三坂輝プロダクション、2024年4月)

取材協力

会社名:株式会社不二越
所属部署/役職:ロボット事業部 ロボット製造所長
取材協力者:林 雅樹 様

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