こんにちは!リモートワークリサーチ編集部です。従業員を管理する立場にある経営者や人事労務担当者は、自社の社員が規定通りに働いて利益を上げるにはどうすればよいか日々頭を抱えていることと思います。ところが、こうした気持ちと行動を裏切るかのように、勤務時間をごまかす人も一定数いるのもたしかです。
本記事では、勤務時間をごまかす人がよくやる手口、勤務時間をごまかしていることが判明した場合どのような罪に問われる可能性があるか、従業員が勤務時間をごまかしていた場合に企業に求められる対応をご紹介します。
記事の最後には、勤務時間をごまかす人を職場から出さないための対策をご紹介します。従業員の勤怠管理、特に勤務時間をごまかす人に手を焼いている担当者はぜひ最後までお読みください。
目次
信じられないけれどやられているかも!勤怠時間をごまかす人の手口とは?
従業員が勤務時間をごまかそうとした場合、想定できる改ざん手法はいくつかあることをご存知でしょうか。
他の従業員による代理打刻
タイムカードを導入している職場であれば、他の従業員に協力してもらい代わりに打刻してもらう方法があります。
タイムカードの打刻は、従業員本人がいなくても可能です。たとえば、電車遅延などで職場への到着が遅れそうなときに、他の従業員と連絡を取って代理打刻をしてもらえば終業時間をごまかすことができます。あるいは、退勤時の打刻を他の従業員に代わってもらう方法もあります。自分は定時で帰っても、自分より遅く退勤する予定の人に依頼して後から打刻をしてもらうケースなどです。
残業代の水増し請求
同じくタイムカードを利用した手口としては、実際の就業時間を打刻しない方法も。終業時間になって実際には業務を終了していても、タイムカードを打刻せずそのまま会社に残ることで、記録上の勤務時間をごまかすことができます。また、タイムカードを手書きで修正する時に実際の勤務時間より長く記載する、タイムレコーダーを操作して嘘の退勤時刻を打刻する方法もあるようです。
勤務時間をごまかす人はどんな罪に問われる?
出退勤時刻の改ざんは違法行為です。改ざん行為をした場合、問われる可能性のある罪状は以下です。
詐欺罪
刑法第37章(詐欺及び恐喝の罪)第246条では
- 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する
と記載されています。
また、同章では電子計算機使用詐欺にも言及しており
- 人の事務処理に使用する電子機器に虚偽の情報若しくは不正な指示を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電子的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理に用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する
とされています。
e-GOV法令検索:刑法第246条の2(詐欺及び恐喝の罪)
電磁的記録不正作出罪
同じく刑法で定められている電磁的記録不正作出及び供用に接触し、勤務時間をごまかす行為が罪に問われる可能性も否定しきれません。
- 人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の湯負い供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
e-GOV法令検索:刑法第161条の2(電磁的記録不正作出及び供用)
私文書偽造罪
冒頭で言及したタイムカードの改ざん行為そのものも、刑法に触れるおそれがあります。
- 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
とされています。
また、
- 他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
の一文があることから、他の従業員の出退勤記録に手を加えることもアウトな行為であることは頭に留め置きましょう。
e-GOV法令検索:刑法第159条(私文書偽造等)
悪意の受益者の返還義務等
民法では、
- 悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。
とされています。つまり、勤務時間をごまかしたことにより従業員が企業に対し損害を与えたと認められた場合、当該従業員は受け取った給与を返還し、かつ損害を与えた責任を負う必要があるのです。
e-GOV法令検索:民法第704条(悪意の受益者の返還義務等)
勤務時間をごまかす人がいる場合に企業に求められる対応と流れ
実際に勤務時間をごまかす人が従業員のなかにいた場合、企業と担当者が取るべき対応と流れは以下の通りです。
まずは証拠集めから着手
噂や言動のみを根拠に「かもしれない」で事を進めるのは危険です。勤務時間をごまかしている従業員がいるなら、確固たる証拠を収集しシロかクロか判別するところから始めましょう。
証拠としては、監視カメラの映像、ビルや執務室の出入りに使用するICカードの記録、PCログなどがよいでしょう。
当該従業員への面談を実施し事実確認を進める
勤務時間をごまかしている確実な証拠が出てきたら、従業員に対するヒアリングを実施し現状確認をします。
出退勤管理に対して何かしらの勘違いや思い込みをしていた結果出退勤時刻の登録がズレてしまっていたなら、誤解を解いてから本来の対応を共有しましょう。
何かしらの意図を持って勤務時間をごまかしている人には、証拠を掴んでいることを伝えたうえで注意しましょう。
当該従業員からの同意を得られるのであれば、ヒアリング時の内容を振り返られるよう会話内容を録音しておくことをおすすめします。
記録と面談内容をもとに処分内容を検討
当該従業員が勤務時間をごまかしていることが確実だった場合、不正に対して処分を検討します。
処分方法としては、
- 支給していた残業代・給与の返還請求
- 懲戒解雇
- 退職勧告
などがあります。どの処分を下すかの判断は、社内ルールに則って実施しましょう。
社内リソースのみでの解決が難しければ外部機関に相談を
弁護士や社労士などのプロに相談し、アドバイスを貰いながら対応するのがよいでしょう。被害が甚大だったり手口が悪質だったりした場合、裁判を起こして徹底的に解決したほうがよいこともあります。いずれにしても、時間、費用、人手がかかることになりますので、不正の内容を考慮して慎重に判断しましょう。
勤務時間をごまかす人を辞めさせられる?
ところで、「勤務時間をごまかしただけで退職は厳しすぎるのではないか?」と気になる方もいるのではないでしょうか。ここでいったん、勤務時間をどのようにごまかすと懲戒解雇のおそれが出てくるのか確認しましょう。
悪質であると認められた場合は懲戒解雇できるかも
結論からいうと、
- 勤怠時間のごまかしが長期間行われていた
- 明確な悪意を持って勤怠時間をごまかしていた
などのケースでは懲戒解雇が下されることもあります。
懲戒解雇では、企業は従業員に対して解雇予告手当ならびに退職金といった諸手当を払うことなく即日解雇可能です。再就職先を探すにしても、懲戒解雇を受けたことがある旨を履歴書の賞罰欄に記載する必要がありますので、転職活動は厳しいものになるでしょう。
懲戒解雇させたくでもできなかった事例も過去にあり
いわずもがなですが、従業員の処分には慎重な判断が求められます。十分な根拠がなかったままで従業員を処分した場合、使用者側に責任を問われることもあるため注意が必要です。
懲戒解雇についても、不正について以前から内容は掴んでいたものの、当該従業員を放置していたり適切な指導ができていなかったりしたりすると、逆に企業側の管理体制を問われてしまい懲戒解雇が認められないこともあります。
退職推奨したい場合の手順と気をつけるべきポイント
当該従業員が自らの意志で退職するようすすめる選択肢もあります。退職推奨と呼ばれる方法で、これはあくまでも「従業員に対して企業がお願いをして、そのうえで従業員が自主的に退職を選択すること」が大切です。企業による「お願い」が行き過ぎてしまうと、今度は退職の強要と捉えられてしまうおそれがあることから、担当者は適切な言動をとるよう注意しましょう。
勤務時間をごまかす人を出さないためには?今日からできる対策方法をご紹介
最後に、勤務時間を「ごまかさない」と同時に「ごまかせない」環境を作るために必要なことをご紹介します。
就業規則を明確にし周知徹底
従業員が労働時間を誤魔化してしまう場合、就業規則の内容が周知されていなかったり内容が形骸化したりしている可能性が考えられます。
ですので、まずは就業規則が現状に則したものになっているか確認してから、従業員に対して就業規則の再周知と徹底、勤務時間の改ざんは犯罪でありバレると懲戒解雇の可能性があることも一緒にアナウンスしましょう。
従業員の意識改革を進める
就業規則という名の職場でのルールを明らかにすることと同じくらい、従業員の意識改革も重要です。
勤務時間をごまかしてしまう背景は、
- 労働時間を水増しして、少しでも収入を増やしたい
- 労働時間を短く見せて、長時間労働をわかりにくくする
正反対の2パターンがあります。勤務時間をごまかしている人がいる場合、どちらのパターンに該当するのか慎重に判断しましょう。そのうえで、現状解決に向けて業務量の見直しに進みましょう。
勤怠管理システムを導入して不正を起こしにくい環境を整える
この機会に、PCを使ったオンライン上での勤怠管理を導入するのも良いでしょう。PCログを一緒に管理できるタイプのシステムを導入すると、パソコンの使用履歴も一括管理記録でき、万が一勤務時間をごまかす人が出てきても客観的な証拠と照合しやすいです。
また、勤怠管理では月末に集計・修正作業が発生しますが、オンライン上で管理をしていると打刻漏れや不審な記録を一瞥してチェックできるようになるので、事務作業の負担軽といったメリットも有しています。
勤務時間をごまかす人への対策にはみえるクラウドログ
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【みえるクラウド ログの主な機能】
・従業員のPC起動時間、ログインログオフ状況の記録
・従業員の業務内容の可視化(PC画面キャプチャ)
・個々のタスク対応時間や内容の把握
・会社や部署、各プロジェクト、個々のメンバーなど、業務の進捗状況を多角的に集計
労働時間の正確な把握
全従業員のPCの起動、ログイン・ログオフの状況だけでなく、オフラインであってもPCログ(記録)を残せるので、記録漏れという事態を招きません。
これまでタイムカードや勤怠打刻システムに頼っていた勤怠管理も、PCの起動回数や起動時間の算出により、自動的に記録、計算することができます。
隠れ残業やサビ残による残業時間超過、またはカラ残業やサボりなども、素早く検知!常習化する前に対応できるのが、助かります。
安全安心のセキュリティ
「いつ、どこで、誰が、どのような操作したのか」という操作履歴の記録は、トラブル時に大いに役立ちます。
誤操作による情報漏洩や、社内ルールの人為的な逸脱なども、素早く発見できれば、迅速に対応することができます。二次被害防止に一役買ってくれることでしょう。
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効率的なタスクの割り振りや、適切なフォローができれば、業務の効率化にもつながります。
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